響きが個性的な《ラハール》は《ラハルス》でした♪

天気予報を見ながら 「 ちょっとは涼しそうな日!」と 川越へと 古い古い アップライトピアノ の調律・作業に行きました。   生まれた年は 只今調査中ですが、 1800年中〜後半のようです。
今回は 延命の為に スタートを切るに当たってのスポンサーを名乗り出てくださったご夫妻と共に 山梨県内から 日本ピアノ調律師協会 の 先輩を巻き込んでの 作業です。   古いピアノも 設備の整っている修理工房へ入院させるとなると 費用も限無く掛かってしまいます。   しかしながら 「 延命に関わるかどうか!? 」 を判断する為に はじめて 楽器 に会いに行った時に感じた様子から 「 現場で出来る作業の積み重ね 」 で 可なりの回復を見込めましたので  延命をスタートさせる為の スポンサーとなられる方と共に 作業などを引き受けました。   

もう 何度もこのブログで登場をしている 《ラハール 》 ですが、 この読み方は 既に高齢となられた先生方が、随分前に その様に呼んでいた事を記憶にあってのものでしたが、 諸外国のブランド名をローマ字読み的にカタカナに直して 日本読みを作ってしまっているブランドも 結構有るもので  今回の 【 Rachals 】と言うドイツ語表記の正しい読み方は 《 ラハルス 》 と読むそうです。
ピアノは アップライトピアノと グランドピアノに 大きく二分される事は 一般的にも知られている通りですが、 グランドピアノ が作られてから 300年余り前の1709年の事で  アップライトピアノ が作られるようになった1800年代からは  グランドピアノも アップライトピアノも 産業革命によっての技術の進歩や 音楽を楽しむ習慣が広がって その曲を生み出すようになった 有名な作曲家達の要望なども増えていって 急激に内部構造の変化を遂げていきます。
かつて集めた日本の先駆け的な調律師たちによって書かれた資料や 出版された著書が、 活躍しているこの頃です。   「 古いものには 価値が無い! 」 と言うような 日本人の楽器に対する 消耗品 と思い込ませる 現代の企業の戦略による所が、 古い本を読んでいると 大きく感じられます。  日本においての ピアノ の歴史は たったの100年余りのことです。   一般家庭に普及したのは そのずっと後のことです。    西洋楽器が発達した ヨーロッパ諸国では 「 直しながら 引継いでいくもの 」 と 考えられていますから  そもそもの設計からしても 基本的に 修理や 調律によるメンテナンスがしやすいように作られてあります。   

現在では 金属の部品によって  大きな力を加えることが出来る事で 高くてクリアーな音を奏でるようになった ピアノ ですが、 その金属の部品も未だ無い時代の資料は グランドピアノは比較的に多く残されて入るものの  アップライトは実に少ないものです。   発展途上の アップライトピアノ の システムや アクション等は アメリカにおいて改良が進められることが大きく  日本に普及する前に ほぼ完成していましたので  特に 日本国内で 資料を探すとなると 「無い」に等しいくらいです。   私がメンテナンスをしている 1903年製の 日本国産1号から数えて 32番目のアップライトピアノでさえ  現代の楽器と ほぼ同じです。
近年の インターネットのネットワーク情報の共有システムの普及のお陰で 今回も 《 ラハルス 》 について  私が、調律の作業中や 車での往復の運転する車中で  延命する為の スポンサー ご夫妻の専門分野を生かしての 検索によって  当時の ピアノ製造業界に関わる 色々な事が分かってきました。   更に 前後の歴史的な世界の様子などからも照らし合わせると 勘違いによる昔の日本語訳に 不正確な所と思われる個所が見つかってきています。   既に 読み方からして 違いが分かったのですから。

今回は 同業者と共に作業を進めながら 互いに気がついた事などを 言葉にして会話していく事だけでも  次々に思考が生まれてきました。    日頃は 各自、技術者としての 自分の腕 で仕事をしている訳ですから  今回のような 本来ならば資料館に行くような時代のピアノを 仕事としながらも  勉強会としての作業内容や これまでの知識の上に  様々なジャンルの方と共に 古い楽器を実際に検分しながら 見聞できることは  非常に貴重なことです。
その昔の 《 平行弦 ピアノ 》 の 現代のピアノとは違った響きは 実際に聴いた人 弾いた事のある人 でなければ 感じられない 美しさが在ります〜
今回の延命作業に関われた事に 感謝をしています。    チャンスを下さった皆さまに 感謝をしています。