封印を開きました。
「私、いつ コロッと逝っちゃっても おかしくは無いので 早くいらして下さいね。」と 御年94歳のお客様からご連絡を頂きました。
85歳の時に 長年介護をされて来られたご主人様を看取られて 1か月の喪に服されて 「私の時間は残り少ないの。私の夢を叶えて下さい。」とご連絡を頂きまして 本当に奇跡的なタイミングで 浜松から戻って来たばかりの 中古では先ず出ないであろう《シュベスター》の特注アップライトピアノのオーバーホール済みを買って頂いて ピアノの先生をご紹介しました。 その頃に見せて頂いた古い楽譜たちを譲って頂けることとなって 現在お住まいのホームへお邪魔を致しました。
この辺りのデザインのピアノピースは、「懐かし」と感じられる方は、少なくは無いと思いますが〜
こちらの裏表紙を見て頂くと 「昭和28年」と書かれてあって その価格も 未だ戦後の名残のある価格です。
こちらの楽譜たちは、更に戦後間もなくに発売された昭和22年のものです。 1年ごとに 紙の質感や印字の様子が、変わっていきます。
元々の日本の技術力は、日露戦争時には、様々なジャンルで 可なりのレベルで有ったのですが、第二次大戦で敗戦して 本来の持っている技術を生かそうにも 物資が乏しく それでも西洋音楽の楽譜を印刷しようとして 更に空襲で「焼け野原」の経験をされた方々が、それらを求められました。
ピアノも 足踏みオルガンでさえ 日本各地の多くの場所で 灰となって仕舞ったものの それでも音楽を愛する気持ちは、空気を吸う様に必要な物とされた方々が、いらしたのだと ページを捲る度に感じます。
「当時のお饅頭が、何銭だったかしら?」と そんなお話を伺いながら 「新しく手に入るものは多くありますけれども 残っているものを残して行く為には、更なる労力を必要としますし 欲しいと思っても 無くなって仕舞ってからでは、手に入りませんので 大切に我が子達へ引き継ぎますね!」と お約束をしました。
そんな我が子達も 成人となって それぞれに残された学生生活を 物づくりにエネルギーを傾けつつ 社会人となる準備をしています。
「まっ黒クロスケ、出てお出で〜! 出ないと目玉をほじくるぞ〜〜!!」 「や〜い、おまえん家、おっばけ屋〜敷〜!!」
そんなセリフを 念仏のように唱えながらビデオを見ていた頃を懐かしく想い出します。
- 作者: ジョーン・G・ロビンソン,松野正子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/05/16
- メディア: 単行本
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《思いでのマーニー》の時代に書かれた児童文学の多くは、ある意味では 現代の子供たちには読み解けない箇所が多くあると思います。 アナログ的に 自分の身体を使って 五感を研ぎ澄まし 第六感とも言えるイマジネーションの世界を経験している時間が減って仕舞った事が、大きい様に感じます。
そんな子供たちの児童心理を 早い段階から分析をして この世に《梨木果歩》と言う作家を送り出したことでも知られて居る 故・河合隼雄氏の文章も掲載されているこの本を手に入れました。
時代が、移り変わって行っても 根底にある大切なものは、いつまでも変わらないと思う 昨今です。