山の中のグランドピアノは子供たちの声を栄養にしていました♪


標高1200mほどの 山の中の小路を通って  今日の調律先へと向かいました。

ノルウェー人の 牧師先生の 教会です。  ドイツ人の 大工さんが建てた 山の中にピッタリな 教会です。     礼拝堂は 自然光がたっぷりと降りそそぐように 設計されてあって 1年中 とても明るいのです。   そして 祭壇の向こう側には 外に 木のクロスが建てられてあって 春夏秋冬を感じながら 礼拝を行えるのです。
仕事で出逢ったお客様や 色々な人と人との関わりの中で  この教会に関わられていらっしゃる知人が、 驚くほどに多くいらっしゃいました。   はじめて伺ったのは 娘の学校の夏休みの宿題で 「 1回は礼拝に行く事 」 とあって レポート提出をする事が、 切欠となりました。   礼拝に行ってみると 更に 昔馴染みや お世話になっている 方々のお顔があって 驚きました。   勿論、 はじめて伺った私たちを快く迎え入れてくださった 教会会員 の皆さんとの出会いにも 恵まれました。
我が家は ミッションスクールの出身者が多いですが、 洗礼を受けている者はいません。    神を信じる 信じない の問題以前に 洗礼を受けることの責任などを 考える事が多いからです。  洗礼を受けていなくても 祈る事は出来ますから 病床洗礼も悪くは無いかな〜 と そんな事は 家族の各自が銘々に思っては居るようです。 

はじめて この教会へ 娘と 娘のクラスメイトと共に 礼拝に行った時に 不思議なほどに 1台のグランドピアノの存在が とても気になりました。   牧師先生の奥様の 規子さんに尋ねてみると 以前にも 全く別の場所で 出逢ったことのある グランドピアノでした。    以前の場所では 使われなくなってから 随分と時間が経ってしまっていましたので 教会で 毎日のように 何方かとの接点の有る環境への引越しは 嬉しいことでした。
冬場は 常にゆるく暖房が焚かれているので  標高は高いものの 冷え切ってしまうこともありませんが、 過酷な乾燥は避けられません。    そして 気温が上がってくると 春から夏に掛けての この数年の 雨の多い異常気象で 湿気を吸い込みます。   決して理想的な環境とはいえませんが、 この辺りの 高地寒冷地では ホールであっても 理想的な環境を整えることは難しいですし  逆に 楽器保管庫のような理想的な場所に仕舞いこまれて有ると ホール内に出された時のギャップが大きくて 調律作業をしている最中や リハーサル後の 開場となった途端に どんどん変化します。

今回の調律に伺った日は 丁度 教会会員さんのお子さん達の 夏のイベントの日で 都会に住む お祖父ちゃんお祖母ちゃんも参加されていました。
朝から 元気に 近くの川へ 水遊びに行ったそうで  戻ってこられてから お昼になるまでの間もずっと 元気な子供たちの声が、 響き渡っていました〜
お昼は 大きな鍋で じっくりと煮込まれた カレー でしたので  私も皆さんの中に混ぜていただいて ご馳走になりました。  とてもスパーシーなのですが、 辛すぎることはなくて 近所での取れたて新鮮な野菜が 柔らかく煮込まれてあって 甘味の有る 専門店のお店でも味わえないような美味しいカレーでした。  フレッシュなサラダも頂きました。   小さな子どもたちが、 美味しそうに ご飯を食べる姿は 懐かしくもあり 嬉しいものです。

再び 調律の作業に戻りましたが、 お昼を食べて  また一騒ぎをした 小さな子どもたちが 各自で見つけてきた 《 たからもの 》 の発表をしていました。   山の中で見つけた たからもの は それぞれの想いがあって  一人ひとりの 今日の想い出 が 詰まっていました。    終わりの会では 皆で 今日1日を 楽しく過せて 美味しいご飯を頂けたことを祈りました。   まだまだ帰りたくない子供達でしたが、 ちょっとだけ グランドピアノの中を覗いて 中から引っ張り出された アクションに興味津々に 触っていきました。
それぞれの家族と共に 家路に着いたのですが、 幼稚園に通う活発な Sくんが1人で戻ってきて  私のところに来ました。  そして 『 僕の たからもの 見なかった? 』 と 訊くのです。   『 S君の たからもの は なんだったっけ? 』 と 訊ねると 『 トゲトゲの葉っぱ・・・ 』 と下を向いてしまいました。   『 あ〜! トゲトゲだけど ちょっと柔らかくて 気持ちが好い葉っぱを持っていたね!  でも ここには無いみたいだよ。  袋に仕舞っていたから きっとお母さんが車にもって行ってくれたんじゃないのかな? 』 と 答えました。 『 そう、トゲトゲしているんだけど とっても気持ちが好いの。 触っていないのに分かるの?  お母さんが 持って行ってくれているのかな? 』と 心配そうに言うので  『 知っているよ、とっても不思議な葉っぱだよね。 だから たからもの って 思ったんでしょう? 触った人じゃないと分からないよね。  でも S君の たからもの だから お母さんも大事にしてくれている筈だよ! 』 と 答えると  顔を上げて ピカピカの笑顔で 『 そうだよね! お母さんも 「スゴイ!」 って 思ってくれたよね! 』と 嬉しそうに言いながら 家族の待つ車に向かって  礼拝堂を出て行きました。

この夏は 東北で震災に遭われた方々をお招きして  来週早々に ミニコンサートをするそうです。  その他にも 義捐金を募りながらの コンサートで ピアノを使うそうで  時間をたっぷりと頂いて 調律をしました。