トランペットとピアノのコンサート 無事に終了しました♪

標高1300mを超える 清里の 萌木の村 オルゴール博物館 《 HALL・of・HALLS 》 にて ロシア人の トランペット奏者の アレクセイ・トカレフ さんと ピアニストの イリヤ・オフチニコフ さん による 【 世界的なトランペット奏者と新進気鋭のピアニストによるコンサート 】 が、催されました。
(リハーサルの様子です。)

前日の 夜間に  お付き合いが長くなった YAMAHA G-5 の 調律に伺いました。   約40年ほど前に作られた楽器ですが、 はじめて出会った時には  調律などのメンテナンスを長い間されないまま 眠っていた グランドピアノ だったので 不安定な状態でしたが、 年々 コンサートや ブライダル等に 使って頂く回数が増えて  現在は 元気に 楽器本来の 個性 を発揮しています。 


セイヨウトチノキの花)

調律に伺った 昨夜は 作業の途中から 雨雲に覆われて仕舞っていたとは知らずに  屋内に置かれているものの 急激な楽器の変化に 驚きましたが、 標高が1300mを超える高さで 1日の内でも 寒暖や湿度の変化が激しい 場所での 当然の事ながらに 屋内 に置かれている楽器達でも 天候の変化にも敏感です。   更に 都会とは違って 雑音が少ない環境下にも置かれているので  演奏者の方々はじめ 私達 調律師や 聴衆の皆さまの 聴覚へのストレスが、 非常に少ない為に 音 に対する 感度 が上がっている事も 影響が大きいのです。   調律師として コンサート当日と 前後の 天気図 も含めて 演奏内容などの 出来るだけ多くの情報を得られると  リハーサル時の 打ち合わせ等も スムーズに行くことが、多いのです。
ただ、 今回は 海外からいらした演奏者の方々でしたので  どの様な 楽器の使い方をするのか!? が、 予想 とは違う可能性もあって  トランペットに負けないような 繊細ながら ワイルドな弾き方をするであろうと思  イメージ をしながら  自分が 「 弾き易い! 」 と思う常態に バランスを調えました。    「 もしかしたらば、その 逆的 な 調整 を 求められるであろう事 」 も 考えてはいました。 

いよいよ リハーサルを迎えました。
イリヤさんの演奏は トランペットのボリュームに 負けそうな様にも感じられるものの  しかしながら 存在感 の有る とても繊細な PP と ff を 弾き分けられる方でした。   創り出そうとされている 音のイメージ と 弾く姿を拝見しつつ  一通りの曲の 通し を終えられた時点で  今回の自分の意思的な 調整内容・理由 と しかしながら 再度の調整が必要だと感じた内容のイメージをお伝えしました。    イリヤさんは 弾いてみられた感覚的な状態の感想を伝えて下さった上に  その理由も添えて下さいました。    お話の延長で 私は 手が小さいので 演奏家には向いていなかったことや 苦労した話を伝えると  ふと、 イリヤさんと アレクセイさんが同時に 『 手が小さい人の為に書かれた ロシアの本が有るよ! 』 と 教えて下さったのですが、 日本語訳にはされていないようでした。    そして 何かを想ったのか!? ピアノの その時の状態を自分のものにしようとしているかの様に 弾き続けられて 何かを感じ取ろうとされていました。
改めて もっと 弾きやすくなる様に セッティングを直すことを伝えました。 
お2人の 耳 は とても素晴らしい感性を持たれていて  互いの 音の聴き方や 感じ方から  それぞれの 楽器 を 前に出すよう な  しかしながら 邪魔 をし合わない  繊細で ダイナミックな音を創り出せる 環境下 で 育まれたものだと  感じました。     
トランペット奏者 の アレクセイさんは 日本語通訳者の方と ご結婚されて  神奈川県にお住まいでしたので  英単語と 日本語をミックスして  ピアニストイリヤ さんを含めて の 会話をする事が出来ました。
アレクセイ さん は 旧レニングラード音楽院在学中に サンクトペテルブルク フィルハーモニー・アカデミー交響楽団 に入団をされて  現在では 主席 トランペット 奏者として 世界的に活躍されています。
イリヤ さんは ご両親共に ピアニストのご家族で  2007年に 第3回仙台国際音楽コンクール にて ファイナリストとして チャイコフスキーの ピノ協奏曲第1番 を演奏して 見事入賞をされました。  お祖父様は ロシアでも有名な 60kg級の ボクサー で  長野五輪の際に 来日されているとの事でしたので  息子も娘も レスリングを続けていて  息子の方は 日本で 3位の 銅メダリストになった事や  ウズベキスタン等の 比較的にお住まいの モスクワ に近い国々が、 レスリング が強くて  アジア大会では 日本が苦戦する相手選手が多いことも アレクセイさんに 通訳をして頂いて お話ををすると 『 そうそう! 』 と言うような 楽しい話にもなりました。   そこで アレクセイさんが 息子が大学生になっ手からの選手活動に ちょっとだけ興味を持たれたので  「 息子は ロボットテクノロジー の 勉強をはじめて  ロボットのコンテストで 世界を目指し始めた。」 事を伝えると  お2人共に 「止めちゃったの?」と言うような 表情をされたので 『 何ごとにおいても バランス感覚が大切で  ロボティクスを勉強する為にも  レスリングで学んだ バランス感覚は 大きいと思う。 』 と 伝えると お2人共に 大きく頷いて下さいました。
昔 会社で ロシアのピアノを多く扱っていて  新品の納品調律で チューニングピンを折ってしまった事が有る(私が怪力なのではなく 偶々、チューニングピンの金属に中に 気泡が入っていた。)ものの  数年後には 個性的な 響きを輝かせ始めてくれる楽しみの多い アップライトピアノ が、 好きな事を伝えると 『 逆に 日本のブランドが、 ロシアに行くと  日本で聴く音よりも ずっと輝きを増すよ! 』 と言うような お話も伺えました。  

5本の トランペット を使い分けての コンサートは バッハ の《 主よ、人の望みの喜びを 》 から始まりました。   そして 煌びやかな トランペット 独特の音色と共に  ピアノソロでは 《 ラ・カンパネラ 》 等の 超技巧的な曲も入りましたが、 再調整の甲斐があって  抜け易かった 音たち が、 ちゃんと踊りだしてくれました。
お客様は 東京や 大阪などからも いらして下さっていて  勿論、 ご近所といえるであろう範囲内にお住まいの 日頃からお世話になっている お客様のお姿も拝見できて 大変に嬉しく感じました。
それそれの楽器を生かした 曲目が、 次々と 耳を楽しませて下さいました。
今日は 東北震災より 丁度 3ヶ月が経った日でしたが、 あえて ラフマニノフ 《 春の洪水 》 を 演奏曲の中に 取り入られてありました。  大きな津波による 被害の大きかった東北地方の 被災者の皆さんへ 『 津波の被害が大きかったので タイミング的に ネーミングは悪い曲ですが、 とても 大変な 天災 と 人災に遭われていることとを想いつつ  ラフマニノフ も 苦悩に打ちひしがれた時に 引篭ってしまってはいたものの  見事に 復活をして  現代でも 多くの人々に愛される音楽を書き続けたように  是非とも頑張って下さい。』 との 思いが込められての 選曲でした。   春の息吹きと共に 雪解け水が、 川に流れ出し  土手には 芽吹き出した植物の 命の息吹きを感じるような 演奏でした。

ロシアン・トランペット

ロシアン・トランペット

アルバムブラット

アルバムブラット

アルチュニアン:トランペット協奏曲

アルチュニアン:トランペット協奏曲

イリヤさんに 全ての演奏が終わってから 『 今日 使った楽器は 日頃はなかなか使うチャンスが少ない楽器で 40年ほど前に作られたものです。 』 と アレクセイさんに伝えてもらうと 2人共に 『 そんなに 古いの? とても好い響きがして 弾きやすかった! 』 と 仰って下さいました。  『 古い楽器だから 新しい楽器とは違う 響きがあるでしょう? 』 と 訊ねてみると 『 なるほど! 』 と言いながら  イリヤさんが お友達からプレゼントされた ロシアの 古いグランドピアノの話をして下さって 『 ただね、 ブランド名が ちょっと問題が有る時代になったから(10月の赤い革命)  ケースを直して 名前を消して  それからプレゼントしてくれたんだけれど 素晴らしい素敵な音がするんだよ! 』 と とても嬉しそうに話をして下さいました。

帰りがけに お客様が、 『 演奏が、素晴らしかった! 』 『 とても楽しませて頂きました! 』 『 今日の調律をされたのでしょう? 素晴らしく 好かったです! 』 と  わざわざ 声を掛けにいらして下さいました。  感謝です。  『 お2人の演奏者にも お伝えします。』 と お返事をして  アレクセイさんと イリヤさんに お伝えしたところ 『 嬉しいですね! 』 と 喜ばれていました。
アレクセイ さんと イリヤ さんから 『 色々とお話をしたいことも有るから 一緒に ディナーに行きませんか? 』 と お誘いを頂きましたが、 アンコール曲や サイン会なども盛り沢山にあって  終了予定時刻を過ぎてしまい  『 ホテルのシェフ達が、 皆さんの 人数分の ディーナーの用意をして待っている筈だから  遠くない時の 再会を楽しみにしています! 』 と 約束して  お別れをしました。

ご来場のお客さまはじめ アレクセイさん イリヤさん プロディースなさった佐藤先生 スタッフの皆さん  有り難うございました。