【野口英世記念館】で【タテタカコLive】


昨日は 何だか とっても珍しい人たちからの 電話が、多い日でした。   不意な贈りものが届いたかのように 何となく 楽しい気持ちになれるものです。  そんな調子で マッコリを飲んで 気分好く 本を読んでいると 随分と晩い時間では(23:30頃)ありましたが、 電話が掛かってきました。  さすがに 夜の電話は 「 誰か、危篤になったかな…? 」 など 考えてしまうもので  発信者の名前を見て 「 珍しい人からだ〜! 」 と思いながら 調子好く出ました。
すると 『 夜分遅くにすみません・・・。 ご無沙汰をしています・・・。 』 と 何やら とっても暗い声なので 「 やっぱり 誰か、危篤なの? 」 と 不安に思ったのですが、 『 あの〜 』 と 本題に入ると どうやら仕事の話のようで しかしながら非常に暗いトーンで 『 明日なんですけれど・・・ あの・・・ 東京なんですけれど・・・  空いていますか・・・? 無理ですよね・・・ 』 との事。
急遽 決まった チャリティーを含んだ Live の 調律師の手配を忘れていたのだそうです。   いつもならば マネージャーに言いつけられて アーティストご本人様から 電話が掛かってくる事が多いのですが、 最近は マネージャーが掛けてきてはいたものの  とっても久し振りに プロダクション社長からの依頼でした。   如何しても明日じゃなきゃ駄目! と言う様な用事が入っていた訳でもなかったので 『 大丈夫ですよ〜!』 と返答すると 『 本当に? 本当に? 』 と 今度は信じないので  『 場所は何処ですか!? 』 と 詰寄りました。

場所は 【 野口英世記念館 】 でした。   『 慶応病院の近くですよね? 』 と 即答したので  『 知っているの? 』 と驚かれました。  偶々 直ぐ近くの 新宿御苑 や 消防博物館に久し振りに行きたいと思って  都内での仕事の度に 立ち寄ろうか!?と 地図 を眺めることが多かったこの頃でしたから 大凡の場所は分かりました。   時間の打ち合わせをして ピアノのコンディションや ホールの環境などの情報を伺って  イメージの打ち合わせも簡単にしました。
夕方からの Live でしたが、 11:30〜でないと 作業が始められないとのこと。  本番・リハーサル・機材セッティング等を逆算していくと  調律作業の時間は 非常に少なくなってしまいます。 そんな 時間的な条件の場合に限って 始めて向かい合う ピアノ が多いので  できるだけ多くの時間が欲しいものです。  そんな時には 会場の関係者と 少しでも早く接触できるように 早めに到着して 待機しています。   更に 《 海の日 》 の旗日なのですが、 連休最終日なので  観光地(我が家のあるような所)からの帰り車の渋滞にはまらないように  そして休日の朝の都内の道は 空いているので 早めに着ければ 新宿御苑でも散歩しよう! と 早めに家を出ました。

朝から 取締りをしている覆面パトカーの多い日で  故障車も多く停まって居たりと 賑やかな中央道でした。   FM の J−WAVE の電波が取れる辺りまで スムーズに走れました。  その辺りまで走ることが出来れば 万が一の何らかの渋滞が起きても  一般道を走って 予定の時間までには 辿り着けます。
調布の辺りを走っている時に J−WAVEでは 東日本震災復興への義捐金を募るチャリティーイベントとして  三陸の美しい海も被害に遭ったことから 海をテーマにした写真展 の 案内トークになりました。  インターハイセーリングの会場も 宮古市から変更になりました。  美しい透明度を誇る観光スポットにまで 様々な瓦礫が流れてきて 海の底に沈んだままです。  その様な事も踏まえながら ダイバー達のグループが集って  それぞれに募った仲間たちと共に 写真展を開催しているとのことでした。
高井戸まで来た時に 「 それでは もう一度 場所をお願い致します。 」と言う声の後に 『 野口英世記念館 です。 』 との声。  正に私が向かっている場所ではありませんか!?    新宿の 野口英世記念館が閉館して  福島の英世縁の地にある 猪苗代湖畔の記念館へと 本部を移されたことは HPを調べて知ってはいましたが、 写真展と Live が、 野口英世記念館で行われることの意味を知らないままに 車を走らせていました。   その時既に 外気温33℃に至っていまして  高地寒冷地仕様の身体は とても新宿御苑を散歩する気分にはなっておらず、 随分と早くには到着できましたが そのまま空いている都内の道を懐かしく思いながら  ちょっと変化した風景を楽しみながら ドライブを楽しみました。


館内は 殆どの物が 既に引越しを終えいて  館そのものを解体するまでの 空いたスペースを利用して 今月末まで 写真展を行いながら  イベントをして行こう!と言う趣旨のものでした。

『 それならば 丁度 ホールも有るし ピアノも有るし  主催者のリーダーが好きな タテタカコを呼んじゃおう!! 』 と言う事で タテさんのスケジュールに無理の無い 今日! と言うことに  数日前に決まったそうです。  今回の チケット代の半分は 義捐金とされるそうです。(半分は 必要経費です。)  
『 そんなに急に Live が決まったのに お客さんが来るのですか? 』 と ある方から尋ねられたのですが、 緊急告知として メールのアドレス登録をしているファンの人たちには 一斉送信メールが届きます。  首都圏であれば 時間に都合が着くファンの方々は 駆けつけてきます。  が、 今回の告知メールは いつも以上に情報量が多かったので  何故だか私は半分まで読んだだけだった様で  肝心の 野口英世記念館 での Live 情報を掴んでいませんでした。 

ホールで待っていた ピアノは フルコンサート と呼ばれる 大型のグランドピアノ でした。  30年ほど前に作られた 質の好い ピアノです。  搬入された当初は ピアノの発表会 などでも 使われていたようですが、  この数年は 全く惹かれていないに等しい状態だったようですが、 最低限の 管理的な 調律はされていたようです。  多くの場合は 10分も弾くと 目を覚ましてくれるものですが、 反応は のんびりとしていました。  作業の優先順位を考えて 様子を見ながら 順番を入れ替えるなどの事をして  約束の時間を目標に 仕事を進めていると  主催者の方から 『 マネージャーさんからの連絡があって 渋滞にはまったそうです・・・。 2時間の遅れ予定だそうです。 』 とのこと。
私の仕事の手順的には 時間が増える事は有り難いことですが、 間も無く到着した 社長に 『 多分、小仏トンネル渋滞にハマッタみたいです。 予想では2時間送れみたいです。』 と伝えると  時間の逆算をして 『 ぎりぎりのスタートだね・・・ 』と。 

大体の作業を終えたものの 一手間二手間加えるうちに ピアノの良さが発揮されていきます。  マネージャーの運転する車で タテさんが到着して  機材の搬入も始まりました。  会う度に 自前の機材が増えています。  ピアノこそは 自分達だけでは持ち運びが出来ないので 色々なメーカーの中から選んだキーボードも 増えました。  機材が増えると  環境が様々な場所での Live でも 自分たちの創り出したい音へと 近づくことが出来ます。  歌いやすいように セッティングが出来きますし  ファンの皆さんへ より臨場感有る時間を楽しんでいただけます。
今回の会場は 昭和の映画を見たら 楽しそうだな〜! と思うような レトロな ムード有るホールなので  音の反響などが、ユニークで 音創りには 難しそうです。  

リハーサルが始まりました。  今日は 3本のマイクで ピアノの音を拾って  タテさんの歌声のマイクと合わせて 4本使います。  マイクも環境に合わせて変えてみたりしながら 音のバランスを整えていきます。  ピアノが大きな分 パワーが有るかと思うと 兎に角弾かれていないピアノなので 拾いたい音を発揮してくれずに  逆に ピアノの大屋根に 逆方向から当たってくるレトロな空調の特有な周波数を拾ってしまったり 思うように 行きません。
勿論、 本番中でも ピアノの変化を聴きながら 細かな調整をし続けます。  「 本番中に そんなにピアノが変化したら困るじゃないか!」とか 「 そんな調律の仕方じゃ 困るじゃないか!」と お叱りを受けそうですが、 ピアノは 生き物 ですから 変わっていきます。


本番を無事に迎えました。  鈴木京香役所広司さんの映画【 アルゼンチンババア 】主題歌《 ワスレナグサ 》や パナソニックや ピタットハウスのテレビCM などの耳慣れた曲も 歌われました。
キーの高い タテさんの声と 曲作りで 低音を響かせる事が、 空気を創り出す特徴を持っているのですが、  今回のピアノは 弾きこまないと 低音が出ないけれど 弾き込んでいられない分は ボイシング と呼ばれる 音やバランスの整え方などで カバーしてありました。
楽しいトークも交えながら 会場の皆さんと共に 被災地の事を思う時間もありました。
『 多分ね、終わり頃になってくると 気持ち好くなるよ! 』と 伝えておいた通りに  突然、 表情を変え始めたピアノです。  歌っているタテさんの変化は少なくて  返って楽しそうに歌い始めました!  慌てたのは 音響エンジニアとなっているマネージャーです。  チョコチョコと 音の拾い方を変えるので マメに音が変わります。  一般の方には 分からない程度の音質やバランスの変化なのですが、 1曲の中でも 変化の有る場面に来ると それに合わせて変えるので  聴いていると ピアノの変化も凄いものなのですが、 それとは別に スピーカーからの音の質感の変化が、面白いものです。
結局 アンコールは 『 2曲 歌わせてください! 』 と 元気な調子で  会場の皆さんが一体となって 手拍子しながらの楽しい時となりました。  それも 2曲共に 特に 低音に拘っている曲だったので  最後の最後に ピアノの本来の力全てではないものの 発揮してくれる事ができて 良かったです。

『 夜中に電話が行きませんでしたか? 』と 始めてお目に掛かった時から お気遣いを頂きました 主催者ご夫妻(真面目な方ですが非常にユニーク)はじめ 企画参加者の皆さん  プロダクションの社長さん マネージャー(運転手・運送屋・音響エンジニア・調理人etc〜)の晃くん アーティストのタテタカコさん(この3名の順番は不思議な人たちなので いつも悩みます。) そしてご来場のファンの皆さま 有り難うございました。

明日は 写真展の様子をお伝えします。