楽器が家を選ぶようです〜♪

昨日は グランドピアノの 【 ディアパソン 】 のご紹介でしたが、 今日は アップライトピアノ の 【 ディアパソン 】 の お話です。


不安定な天気図のこの頃ですが、 暑い暑い日となりました。   更には 高原では 可なりの 蒸し暑い日だったので 気候の変化による ピアノへの影響を あれこれと考えながら 作業のイメージをしながら出掛けました。
オーバーホールをした 昭和47年頃の ピアノ なので 環境の変化や 新しい部品が、 楽器の一部として 未だ馴染みきっていない状態の バランス調整を必要とする 【 ディアパソン 】で  京都から移動されて 搬入を完了した 納品調律でした。   実は このお宅へお伺いをするのは 2回目です。  と 言いますのは 1回目にお伺いをした時には 全く 作業が出来ない《 珍事件 》が、あったからです。    ピアノを 購入されたお客様との 20ウン年振りの 再会 でした。   学年が 1クラスの中学校と 普通科と衛生看護科の各2クラスから成る 中高一環ながらも 幼稚園から有る 母校 の 1学年後輩で  お客さまは 私が入学した高校1年の時には 中学3年生で 3年間 隣り通しの教室でした。  地方では その様な事は ご近所通しで当り前のようにある事ですが、 人口が多く 交通網の複雑で 小さな頃から電車通学も少なくない 数多く学校の在る都内の しかもとても小さな学校ですから  まさかの 山梨 での再会には 驚きを通り越してしまいました。   小さな学校でしたので 高校からの入学生は 何かと新風を吹き込む存在だったのですが、 『 ◎◎(旧姓)先輩は 何だか いつも職員室にいましたよね!? 』 と 懐かしい話をしながら  特に目立っていたと 後輩である お客さまから 聞かされました。   それは可なりの自覚があります。   多くの場合には 普通科は文系で 衛生看護科は理数系でしたから  合同で行事をしていても 混ざり合うことが少なかったものの 体育会理数系だった私は 未だに付き合いが切れずに衛生看護科失神のナースの友人達が多くいますし  高校3年生の時の 中学1年生だった 後輩 とも 付き合いが切れずに 何かと連絡を取っています。

今回の 【 ディアパソン 】 は お客様の息子さんが、 インターネットでピアノを販売されている楽器店 《 ぴあの屋ドットコム 》の HP を繰り返し開いて 楽器の音をパソコンなどで繰り返し聴いて選んで決めたものでした。   基本的には 『 ピアノを実際に 試弾してみて 気に入った楽器を買って下さい。 』 と お話をしていますが、 楽器店に出向いても 初心者であったりすると 営業マンに勧められたものを購入する事が、一般的と言えます。  ですが、 インターネットで 写真だけで選ぶよりは スピーカーからではありますが、 1台1台の音を聴き比べて 気に入ったものが見つかれば  その様なピアノとの出会い方も起こるのです。   そして搬入日や 納品調律の日を 心待ちにして下さっているのです。
搬入後の納品調律の場合は 販売店からの依頼によって お客様の御宅へと 伺います。    そのまま長いお付き合いになることが多いですが、 ピアノ教室のピアノを調律している調律師へ 『 変えるように! 』 と 先生からの指示が出ることもあります。    今回も ピアノ教室で勧めている 調律師が居るようではありますが 『 先輩のことを知っているだけに 先輩しか、いないですよね〜!! 』 と 大笑いをされました。
大笑いの理由は 多くの生徒が、 幼稚園や 小学校から上がってきて 中高生となるので  教師達は扱いに慣れていた面もあって  逆に生徒達は大人である教師達に対して意見する事が少なかった中で  意見しながら 討論できる存在としてインパクトが強かったようで  何かと私は 色々な先生方と 生徒が苦手とするような先生を相手にでも 『 真顔で主張をしていましたよね〜笑 』 のイメージが強いそうで 『 怖かったです・・・笑 』 との事でした。   怖かった理由は どうも別にもあって  お客様である後輩は 《 アタック・ナンバーワン 》の原作者の長女と親友だったのですが、 『 先輩、こずえに「何で練習サボった!」って もの凄く怒っていたこと有るでしょう? 』と 20ウン年前の ほんの数分や 数秒の出来事を 不思議な事に 次々と想い出すもので  『 あの時はね〜 こずえがね〜 』と 恐ろしいほどに 会話が繋がるものでした。  

さて 新しい家族となった 【 ディアパソン 】 ですが、 必要な修理がなされて有るので 部品としてあったものが、 楽器の一部となっていくまでのプロセスや その個所を含む ピアノ の今後の変化の様子をお話しながら  出切るだけ低音・高音部も弾くように その必要性を息子さんにも 中を見てもらいながら分かり易いように  音叉も使って ピアノの楽器としての 面白さも感じてもらいながら お話をしました。   スピーカーを通してではありますが、 繰返して音を聴いて 『 このピアノが欲しい! 』 と 強く思って  家族で話合った結果 購入した ピアノ です。   もっともっと 身近な存在となってもらえる様に はじめて出会った ピアノ の事を伝える事も 調律師としての大事な仕事です。
すると 小学生の息子さんは 『 ピアノって 生き物 なんですね!! 』 と 言ってくれました。  そして 作業の様子を興味深く見てくれて  終わってから弾いてもらうと 『 とっても弾きやすくなって こんなにも変わるんだね!! 』 と 発表会へ向けて 只今練習中の大好きな曲を弾いてくれました。    そして 『 疲れているでしょうから 』 と 車まで 10kg以上も有る 工具の入った 調律カバン を持ってくれて 見送りにきてくれてました。
彼の立派な体格と 音楽への好奇心は 【 ディアパソン 】 の響きを弾きこなすのも そう遠くない日のことだと思います。