修理の秋です♪


急に 秋の気配が感じられるこの頃となりました。  何かと忙しくしていて 車での移動距離が長かったりと パソコンの前に座る時間が取れずに ブログ延滞状態の今日ですが、 『今日は更新したかな?』と待っていて下さる方々のことを思いながら 回想録です。

埼玉で 主人の家が自営業を営んでいた頃は 大型車も入れるように 庭は コンクリートで固められてありました。   息子が小さな時に 近所の神社や公園で拾ってきた ドングリを植木鉢で育てたものを 山梨へ引っ越してくる際に持って来て 庭に植えました。  見事に 立派な木へと成長して この数年は お隣のお庭にまで ドングリを落すほどにまで 大きくなって仕舞いました。
風に揺れるでもなく その時が来たドングリが落ちて来ます。   日向ぼっこをしているNOЁLとチップにも 降り注ぐように まとめて落ちてくることもあって 臆病なNOЁLはヘッピリ腰になります。


修理の秋〜♪ という訳ではないのですが、 数日間の予定で アップライトピアノのアクションをお預かりをしてきての 破損部品交換です。
ピアノの部品には 木、金属、フェルト、綿、皮 など 様々な物が使われています。  弾いていれば 劣化しますし 消耗もします。  眠りについていたピアノでも 久し振りに弾き始めた事で 急激に劣化がすすむ部品もあります。
「古い着物や洋服を 大切に仕舞って置いても 久し振りに出してみると 虫に食われていたり  布地が弱くなっていたりした経験をしたことはありませんか?」と たとえ話をする事がありますが、 同じ様なことが起こります。
時には ネズミや この辺りでは 天然記念物の ヤマネ に 入り込まれて ピアノの部品が 巣の材料にされていたり  トイレにされていることもあります。
 

今回の修理は ピアノの年数の問題と 最近再び弾いて貰うようになったことが合わさり 88音分のスプリングを支えている 細いコードが切れました。   半年ほど前に伺った際に 既に10本余りが破損していたので 近々に アクションをお預かりしての修理の必要性をお伝えしてありました。   
88音分の部品交換は 88回のネジの脱着だけでも時間が掛かってしまいます。  そして その部品のみならず、 他の部品も脱着する際に破損することがあるので  暫くの間 弾けなくなってしまいますが、お客さまとスケジュールの相談をさせて頂いた上で お預かりして 日頃はなかなか手を入れられない箇所も 部品を外した際に 掃除などをしつつ 作業を進めます。
今回のコードの交換は 古いコードの残りを奇麗に取り除いて 新しい物ヘと換えて行きます。  地味な作業ですが、 簡単にでも 使う刃物を砥いだり 工具の手入れをして始めると なかなか楽しい作業です。   このコードの破損を放置してしまうと スプリングの破損へと 被害が拡大してしまいますので 今回も既に 数本のスプリングがダメージを受けていましたが、 1本ずつ確認をして 必要であれば 新しいものへと交換しました。

コードがきちんと直されて スプリングに描けて パーツの動きを見ます。  この時に 動きの悪い事があれば センターピン と言う関節部の支点になるピンも 必要に応じて交換します。  センターピンは木部と直接当たらないように 縦糸と横糸の有る特殊なフェルトが小さな穴の中に入れられてあります。  古いピンを抜いて リーマーと言う細い丸ヤスリで 軽くフェルトの表面を毛羽立たせてから 丁度好い太さのセンターピンを 親指の爪 の感覚で 当たり具合を確かめながら 決めて行きます。  この作業も 考えながらではありますが、 指の爪に感じる感覚と セットしてからの動く具合の様子を見る楽しみが有る作業です。    これらの地味な作業が整うと ピアノは再び美しく響き出してくれるのです。
金沢の からくり博物館を見に行った時に 親近感を感じました。