ピアノの音色は会話から

山梨県の人口は よく例えられるものが 『 東京の世田谷区民と同じ位 』 と言われます。  多くが、山地なので 民家は昔から限られた場所に自然と集まって その地域・地区ごとの特徴が色濃く未だに受け継がれています。
年代の違いなどもありますが、地域の特色が 建物にも表れています。 そしてその様な古いものを残そうとする意識の在り方の違いもあります。 一昔前までは 当たり前にあったものが、急激に近代化していく生活様式の変化と共に 失われていく事に 気が付かないままに 徐々に町を作り変えてしまった結果、自然と古いものが無くなって仕舞った事に 後から気が付くこともあるのでしょう。
東京で生まれ育った私ですが、その東京も江戸から栄えた短い歴史の中だけでも 同じことが起こっています。

調律師は 1件のお宅を探すことも 仕事の内ですが、エリアが広いので 特にこちらのような環境ですと ちょっと車を走らせると あっという間に10km〜20kmの移動になります。  はじめて伺うお宅でも 迷わずに直ぐに辿り着ける場合もありますが、大抵は少々は探します。  お宅を探しながら 風景を見ているので 色々なものが目に飛び込んできます。 時間に余裕がある時には 車を停めて こんな風に 写メをして 『 今度は 早めに来て見てみよう! 』とか、そんな楽しみを持っています。
地図や経験で お宅を探すことも楽しみですが、迷った時には 特に 地元に多い名前の場合だと迷うので 偶々、通りかかった近所の方に 声を掛けて 苗字では無くて 下の名前を尋ねると 直ぐに教えて下さることが多いので 迷うのも楽しみと言えます。  今時は 携帯電話があるので お約束の時間が近付いて居たり 過ぎている場合には お客様にお電話をして 直接伺います。 便利です。 助かります。
地元の方に 声を掛けると よく『 どっから来たんだ〜? 』と尋ねられます。  すると観光地でも有名な土地柄なので 『 遠くから来ただね〜。 行ったことあるよ。 親せきが住んでたりするからね。 』と 親せきの方のお名前を窺ったりすると 一期一会の会話なのに 近所の皆さんの名前が飛び出すので そこで互いに大笑い〜♪  『 今度会ったら 伝えるね〜! ありがとね〜! 』と言いながら別れます。
今日の写真は 現在は開業医の 昔からの名家のお宅で 庭師が有名な方の作品なのだそうです。 道の反対側にも 同様の立派なお宅があったので お話を伺うと 元々並ぶように建っていたのに 道を通す為に 庭が削られて 離れてしまったそうです。  『 折角だから 車、そこに停めて 今 庭を見てけばいいや! 』と言って頂いたのですが、『 仕事があるんじゃ、仕方がないな。 又今度来ると好いよ! 』と 仕事先のお宅へと 送り出してくれました。

はじめてお伺いするお宅では 出来るだけ ピアノの中を見て頂くようにしています。  多くの場合が、男性の調律師の訪問なので 「 専門的なことは分からないし 邪魔にならない様にとも思うし お任せして 呼ばれるまで別室に居る事が多い 」と言われる場合が多いので ご自分の楽器の中を見たことが無かったり アクションを外しての 『部品交換などの作業も 調律師の仕事だと 考えた事も無かった!!』と言われることもあります。  消耗部品は、勿論有りますし 1件1件のお宅に因ってのピアノのコンディションは 勿論違いますので 特別な修理の費用や時間が必要とされる場合には、特にご理解を頂く為に 観て頂いて 作業内容を知って頂きます。
『 こんな風に説明をしてくれるんですね。 色々なお宅に行くわけでしょう? なかなか大変な仕事だよね。 』と 声を掛けられることがあります。  お客様のお宅に数時間は上がらせて頂いての仕事ですが、『 電話でスケジュール調整をして 1件の家を探して 作業をして 金額を伝えて 集金をして 領収書を切って〜 だけじゃないものね。』と言われます。  営業などのお仕事をされてこられた方々には 『 半分は 営業じゃないの? 』と ご自分の姿と重なるものを感じられるようです。 人間嫌いな友人が 獣医師になって 腕も好いので開業はしたものの 数年間悩んでいたことは 「動物を連れてくるのは 人間なんだよね…」でした。  私も 獣医師を志していたことが長くあったので 結局は「コミュニケーション能力次第で 好い仕事が出居るか出来ないか?」も関わる事が話題になる事が少なくないことをお話しすると 『 獣医も 同じことを感じる職業だね〜!! 』と 意外なる発見に 又お話が弾むことが多いです。

年度末、年度初め。  分かれと出会いの季節とも言われますが、皆さんも 『 はじめまして 』と交わす事が多くなることでしょう。  素敵な出会いに恵まれますように〜♪