高崎観音へ「金メダルだよね!」と呟きながら 頂いた飴の味

連日のオリンピック放送の内容の濃いお蔭で 多くの人が、寝不足になりつつも お盆休みを前に 休暇前後の仕事の確認作業も増えて 慌ただしく過ぎたこの数日です。 「お盆休みの帰省を楽しんで来てね!」と交わしつつも 休暇になられた方々のお宅へ伺っています。
ちょっと涼しげな風を関じられるようになってきましたが、まだまだ暑さが厳しいです。 昨日 12日は、群馬県高崎市のお宅へ 伺ってきました。 お盆休みの日曜日なので 陸送の大型車などは、比較的に少ないのですが、各所での渋滞が予想されたので 高速道路を使わずに 最短距離でもある 峠越えを繰り返す国道を使って 走りました。 山の中を走るので 涼しいかな〜!?と思って居ましたが、意外にも蒸し暑くて 高崎市内へ着くころには、まだ時間が早いものの 気温が上がり始めていました。 

小さなお子さんがいらっしゃるお宅への調律に伺う際には 「面白そうだな〜、と思ったら見てみて下さいね!」と お伝えします。 ピアノの中の様子や 私たち調律師の作業を見て頂くだけでも 「白と黒」の鍵盤のイメージが変わってきます。  そして お母さんが弾いていたピアノをお子さん方が弾き始める年齢となった時に お母さんが幼かった頃を想像して貰ったり お母さんご自身が毎日の練習が、ちょっと切なかったり 楽しかったり 色々な想い出を蘇らせて頂くこともできます。
『ピアノそのものが、ご家族のアルバムですね。』と お話しすることも多いものです。
20年ぶりの調律となった 1件目のお宅には、超額1年生のお姉ちゃんと 幼稚園に通う妹さんが、待っていてくれました。 作業の邪魔をしない様に お子さん方の心遣いを背中で感じながら 作業を進めました。 掃除から始まって 内部の点検作業や調整をして 調律で 音程が下がって仕舞ったまま安定してしまったピアノの目を覚ましていきます。 何やら 同じような作業の繰り返しが続く… と思いつつも 何と無く 聴こえてくる音の雰囲気が変わってきたような〜!?
全体のバランスを確認するために弾く音に誘われて 「終わったかな?」「何だか、とっても明るい音になったみたいね?」と様子を見に来てくれました。  中の様子をお伝えしながら「沢山弾いてあげてね。」とお話をさせて頂いて 「また、お邪魔しますね。」と帰ろうとした時に 小さな姉妹が 恥ずかしそうに 可愛らしい絵柄の ぷっくりと膨らんだ封筒を手渡してくれながら 「帰りながら食べて下さい」と 声をそろえて 渡してくれたものは、ブドウ糖やキャンディがたくさん詰まっていました。 「これから もう1台のピアノを調律に行くから その前に頂きます!」と受け取ると 「こんなに大変なお仕事を こんなに暑い中で未だするの?」と驚かれたので 「今日は、車でちょっと行った所のお家でも 待っていてくれるピアノがいるからね。 それから夕方から 知っているお兄ちゃんが、オリンピックで 戦うから お仕事を頑張って 応援しなきゃいけないから お仕事も頑張り甲斐がある日です。レスリングていうスポーツで 家のお兄ちゃんとお姉ちゃんの先輩なの。もしテレビを見たら 応援してね!」と お別れをしました。 甘いキャンディーは 姉妹の優しい心遣いの嬉しさと共に疲れを吹き飛ばしてくれました。 


お約束のある もう1件のお宅へ向かう途中で 高崎観音のお顔が見えました。 運転をしながら横目で見つつ 「観音様、米満は勝ちますよね? 金メダルを取れますよね?」と 独り言を言っていました。  2台目のピアノも 前回の調律から少々機関が開いて仕舞っていましたので 出来るだけ安定しやすい様に心掛けながら作業を進めました。 作業的には 調律機関が開いて仕舞ったピアノは大変ではありますが、イメージ以上にまとまりが好いと 嬉しいものです。 ちょっと立ち寄る予定の在った甲府のお宅へは 高速道路も使わなかったこともあって 急ぎでは無かったので ゆっくりと後日、と言う事で 息子の母校でもある 子どもたちと共にチビッ子レスリングの本拠地としていた道場へと車を走らせました。 時計を見ると 既に テレビの放送時間が始まっています。 でも 勝ち進んでくれれば、決勝戦までには ゆとりを持って行ける時間でした。 途中で 息子からメールで「もう直ぐ準決勝だよ」とか、「決勝! 開始時間予定が10:00」と 経過連絡があって 決勝まで駒を進めた事でメダル獲得を決めた事を嬉しく思いながら車を走らせました。
はじめて 道場を訪れた時には、未だ 米満も 倉谷も 高校生として 練習をしていました。 彼等は高校からレスリングを始めた選手ですが、直ぐに才能が開花して 大学へ進学して 北京オリンピックへのチャンスも掴みかけた実力者です。  同じマットの上で 団体戦はあるものの 立った広地でマットの上に上がる個人競技は、チーム競技を経験してきた人達は必ずと言ってもいい程に 負ける事の怖さと責任の重圧と向かい合う時があります。 それでも 頑張った人だけが掴める 勝つ喜びや 負けた時の公開だけでは無くて 内容の良し悪しを自問自答しての充実感を味わえる種目です。 柔道の様に相手の延長線上として掴む事が出来る道着の様なものも無く シンプルだからこそ難しくて面白いスポーツです。 

山梨県で開催された 「かいじ国体」では ウエイトリフティングと レスリングと 馬術が、強化種目とされて 地元の高校でも強化選手の育成が行われました。 それに伴ってレスリングの選手経験の豊富な教員採用があり 奄美出身の監督は 海無県へ赴任してきました。 そして 数多くの国体入賞選手、全国大会入賞選手を育て上げました。 かいじ国体の時に レスリング成年の部の会場となった現在の北杜市高根町支所には、監督がモデルとなった グレコローマンスタイル銅像が記念として建てられました。 息子と娘が、道場でお世話になった時からのチームメイトとなった 監督のお子さんたちは 自分の父親の銅像がある事を知らなかったので 遊びに誘ったついでに立ち寄って 観て貰った時は、まだまだレスリングの面白さには気が付いていなかったのですが、月日が流れて子供たちがそれぞれに成長をしつつ 高校生だった生徒が大学生、社会人へとなり 今では 世界での試合へ行くほどの実力者が数多くなりました。 決して人数の多いチームではありません。 全員が初心者でも 直ぐに選手として 出場しながらルールや 技を覚えて行きながら 上へと登って行く欲が出てくるのです。  「へたれ」と言われた我が息子も ここで獲得できるほどまでに鍛えて頂いたお蔭で得た実績が、ジャンルこそは変わりましたが 「世界を目指す!」為の背中を足てくれる大きなものとなっています。 女の子で小さいし… と言われたものの軽量級の初心者の高校生を相手に練習させて頂いたり 実力者の優しいOB達が相手をしてくれながら 練習をさせて頂きました。 

ロンドンオリンピック最終日に レスリングフリースタイル66kg級に出場となった OBの米満選手を応援するために車を走らせて 学校へ到着すると レスリングの歴代のOB達も続々と集まって来ていて レスリング部員はじめ 学校関係者の皆さんと一緒に時間を過ごしました。 彼らを指導してきたかつての非常勤講師だったOBのコーチは仕事の関係で 開場へは来ることが出来ませんでしたが、皆がそれぞれに テレビでのLIVEを見守りました。
動画クリック http://www1.nhk.or.jp/olympic/movie_portal/
息子のHideが映っています〜 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120812/k10014234571000.html
そして迎えた決勝では レスリングのルールが分らない人でも解かり易い 見事なビックポイントで 勝敗が決まるとういう時にはその瞬間へ向けてのカウントダウンが、声をそろえて起こり 金メダルをつかみ取ったその瞬間に 一斉に「うぉおおおお〜〜〜!!!」と 声にならない歓声が上がりました。  試合の流れを見ていても 金メダルを確信できていましたが、それを現実のものとしたその瞬間は 誰もが、言葉にならない喜びに包まれました。 テレビに映し出された観覧席では 日の丸の国旗を振る監督親子とOB達の姿がありました。 勿論、ご両親と 彼は高校時代を暮したOBの実家の下宿先のお母さんも 生でその時を見守って 喜ぶ姿がありました。  表彰式を見守り 場を共にした皆さんと 言葉にならないながらも 喜びの会話を交わし会い 歓喜冷めやらぬまま OB達は祝賀会へ 息子と共に私はは帰路へと付きましたが、帰宅してからも録画を繰り返し観て 細かな技のチェックを語り合い 観覧席の応援団の姿を楽しみました。


可なりの寝不足状態ながらも 短時間で心地の好い睡眠を取り 目覚ましの音と共に 仕事へ向かう準備をしました。 玄関を出ると 《アイスカスケード》と言う 寒さなどにも強い薔薇が1輪咲き誇る姿があって 開き切って仕舞っていましたが、まるで金メダルを表すかのようでした。
今日も 随分とバランスを崩してしまっていた グランドピアノを整える調律作業でしたが、幼い頃から色々なスポーツを経験して 我が子が切っ掛けでであったレスリングのチビッ子とマットの上で過ごさせて頂けるク暗すも経験して 最近は15年ぶりにテニスコートを月に数回走り回って 緩み始めていた筋肉も維持しつつある今日ですが、「ピアノとスポーツが結びつかないね!」とよく言われるものの 演奏者の方々もアスリート並みの体力を維持しなくてはならない事、私たち調律師も 良い仕事をする為にも体力の維持と共に 様々なジャンルの 様々な体験を生かす工夫や思考することを「楽しい!」と感じる事は、喜んで頂ける仕事をしていくためにも必要不可欠だな〜♪と新ためて 考える日となりました。
さあ、次は リオデジャネイロです。 昨夜の応援観戦の解散時に皆が口々に 「リオ貯金!リオ貯金!」と呟く姿は 仕事への意欲を書き立たせるものとなっているようでした。