調律師の鞄の中 〔Ⅰ〕 【 音叉 】

mukku38682010-10-20


毎年、清泉寮の《カンティーフェア》が終わると 急激に冷え込み始めます。  子供達が登校して行く朝7時頃、10℃を切る様になりました。    遠くの山々も 庭の木々も 紅葉を始めました。    昨年、花屋さんで 偶々見つけた CANADAの国旗の デザインになっている メープル の苗木も 紅く染まってきました〜*^^*



多くの方々に 『 調律は、どの様にして 音を整えるのですか? 』 と 質問を頂きます。       今日は、調律の一番最初の作業についてです〜♪


一般の ピアノには、黒鍵・白鍵あわせて 88の鍵盤が有ります。    先ずは、 そのうちの左から49番目の《 ラ 》の音を 440hz・441hz・442hz・・・ と用途に合わせて 《 基音 》として整えます。その時に使う物が、【 音叉 】(おんさ)や 【チューナー】です。   金属で出来ている【 音叉 】は、使う前に 人肌に暖めたりしますが、微妙に誤差が出ますので 最近では、 多くの場合 電池を入れる 【チューナー】を使っています。
調律の勉強を始めた頃は、【 音叉 】を使う練習をしました。 膝に ポン! と打ち付けて振動させて チューニングハンマーを操りながら 耳元で 音を聴きます。     今では、殆ど【 音叉 】を使うことは ありませんが、 調律師の第一歩で お世話に成った【 音叉 】は、万が一 電池切れを起こして使えない【チューナー】の代わりをしてくれますので 随分と前ですが、 清里・大泉にお店が在る革職人の【 ボンファイヤー 】さんに 傷防止の ケースを創って頂きました〜♪


ピアノに添えられている『 A = 442hz 』と 書かれてある《 作業カード 》を ご覧になった方も 在ることと思います。   その 《A》 が、49番目の音で ドイツ語表記だと 『アー』 英語表記だと 『エィ』と 読みます。 ( A は、Aながら Jazz奏者の方々とは、「エィ」が多いです。 「アー」と言うと馴染み薄がられます。)     その《 A 》にも 大方のピアノには、音が3つあります。   1つの鍵盤を弾くと 弦が、3本・2本・1本張られているので その数の音が響きます。    高さによって 張られている数が違うのですが、 49番の音の高さを合わせる時には、《ミュート》と言う工具で 1本の弦だけを鳴る様にしてから 合わせます。


お気付きの方も在りますね!!    ピアノの音は、正しくは、『88音』 では ないのです!!   弦の本数=チューニングピンの数 (では、無いピアノも在ります。) と 一般的には、知って頂きたいと思いますが、 その音の数は、《 230〜240 》程です。
基音の1音《 A 》以外は、 全て 自分の《 耳 》で 聞き分けて 全体のバランスを整えながら 調律をします。 全部の音を教えてくれる 便利なパソコン・ソフトもありますが、ピアノ全体のテンション(弦の張力は、アップライト1台で 20t近いです。)のバランスなどは、経験値を 生かして 整えた方が、響きのバランスが 好いので 私は、使っていません。


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