ガラスケースの中の 古いピアノ

《 夏休み 》 となりました。   その時期の変り目に 恒例の 三者懇談 の為に 娘と共に 学校へ行きました。    娘本人から 希望や 志望校を具体的に聞いていないので 「 一体、三者で 何を話せば好いのやら〜!? 」 と思いながら 出掛けました。

私自身が、 農獣医学部の大学受験の願書を出しておきながら  急遽 ピアノ調律師になる為の専門学校へと 進路を変えたことも有るので  『 兎に角 今 出来ることをやっておけば 色々な進路へ変更可能だから! 』 と 言うような話は ずっと子供達にしてきていますので  余程の事が無い限り 自らの道を 自らの意思で 開拓していくことでしょう。
カナダ人宣教師であって 第二次大戦前後の学校長を務められた グリンバンク先生のお名前のついている チャペルで 日頃から学ぶ事の多い 娘 ですから 日頃から 何かと思うことも多い様子ですから 『 後悔の無いように 』 と 見守るだけです〜
そのグリンバンク先生が、 カナダから持ってこられた アップライトピアノ を はじめて見せて頂いたのは 娘が小学6年生の時に  オープンキャンパスも全て終了してしまった 冬に  個人的にお願いをして 学校を見学させていただいた時でした。  

120年を過ぎた古い学校なのですが、 空襲などにもあったり 多くの経験を経て  暫く前に 古くなったチャペルの古い材を 一部利用しながら 改修工事を行った際に その グリンバンク先生の アップライトピアノを 修理することなく ガラスケースの中へと 展示するようにしてしまった 修理の苦手な調律師が居たのです。  学校側から どの様な依頼があったのかは 今更 訊ねる気もありませんが、 状態によっては 最低限に 月に 1回でも ちょっとしたコンサートが出来るくらいには ガラスケース代と そうは変わらずに出来た事と思います。 もしも 始めから 展示保存を依頼されても  私ならば 状態を見て その状態をお伝えして 楽器としての 最も喜んでもらえる保存方法を提示して  ご理解を得ようとした筈です。  もしも 新品を買う以上に修理代が掛かってしまうとなってしまっていたとなっていても  生徒達の体温を ピアノが感じられる 保存方法を提示しています。   更には その時に眠っていたピアノ達数台を 処分された事も伺ったので  何かと 間接的にはご縁の有る学校ではありましたが、 『 もっと早く出会えていれば〜 』 と 数名の先生方に仰っていただいた事が在ります。   もしも残されていれば  そのピアノ達も 今頃は 学校の様々な場所で 生徒達に歴史を伝え続けてくれていた事でしょう。 
「 今からでも 弾けるようにしようと思う意志が有るのであれば好いのにな・・・ 」 と このピアノを見る度に 悲しくなってしまいます。

私の母校でお世話になった担任のお母さまが、 娘の大先輩でした。   お元気であったとしたのならば 90歳を超えていますが、 グリンバンク先生に師事を受けていたはずですので 「 色々なお話を伺うことが出来たのに〜 」 と 思う事が度々あります。
幸いに 数年前に 体育館の半地下のスペースで 眠っていたグランドピアノを見つけました。  鍵をなくしてしまったので何年も弾かれる事も無く 放置されているとのことでしたので 早速開けてみると 《 祝 創立80周年記念  卒業生一同 》 と 金文字で書かれてありました。   それから手を入れてあげると 小さなグランドピアノは 可愛らしい音を響かせ始めました。
昨年 体育館耐震工事 も行われましたが、 明るくなった 元のスペースで マンドリン部などの音取りなどの役に立っています。
楽器である ピアノ は 生き物ですから  人と触れ合える事を待ち望んでいます〜