哲学・文献学セミナーがスタートしました

先日 長い長いオーバーホールを終えて やっと搬入作業を終えた 昭和14年製造の グランドピアノ 【 YAMAHA No.15 】 のお披露目の日となりました。   今日から 3日間を使って キリスト教哲学 をベースにした ホームセミナー が、お客様の御宅で行われます。   その席で ピアノのお披露目を兼ねた ホームコンサートと共に ピアノのご紹介と 日本においての ピアノ製造等に纏わるお話を 明日、明後日とさせて頂くスケジュールとなっています。
  参加者の皆さまは 各大学で 哲学や 言語学を専攻なさっていらっしゃる 教授陣と 大学院生です。   各地から 昼過ぎに 最寄り駅集合となっていましたので それまでの間の朝から 調律の作業に入りました。

このピアノは 以前にオーバーホールの経験が有る様子でしたが、 色々とチェックをしていくと 『 何で こんなことして有るんだろうか!? 』 と思われる作業内容の痕跡がありましたので  その経緯も踏まえて 移動を機に ちゃんとした内容での オーバーホール をする事となって  設備の整っている工房に持ち込んでからの 念入りな打合せをしました。   1つの作業を行うのに当たって それに準じて必要となる作業内容の確認と その際に使用するパーツのメーカーなどの指定の指示をしました。
鍵盤の張り替えは 浜松へ 私が運び込んで 恩師達の手によって 見事な作業と 見事な質の 象牙の鍵盤 へと張り替えられました。   黒鍵も 質の高い 黒檀 ヘと 換えて貰いました。
使用前・使用後〜 ではありませんが、 工房での作業後から そこそこのバランスを保ってはいましたので  試しに ご主人様のフルートと 奥様のピアノ伴奏を合わせての感想を伺ってみようとしたところ それぞれの楽器には 大きな問題は無いものの 合わせてみる事で 『 船酔いした感じ・・・ 』 と言うような 合奏は出来ないコンディションで有ることが明確になったので 早速 調律の作業に入りました。
オーバーホール によって 昭和14年からの 楽器 としてのバランスを 再び崩す作業でもありますので 先日の搬入作業の時から 新しい環境への順応と共に 新旧の部品たちが、新たな楽器へと生まれ変わり始めていましたので  新品のピアノの納品調律等とも違った作業を要しました。 

予定以上に 最低限と思われる作業に時間が掛かってしまったのですが、 皆さんが 会場となるお客様のお宅へ到着をされたので  清里へ 美味しい蕎麦を食べに 行きました。   とても美味しい蕎麦に舌鼓を打ちながら 自己紹介などをしました。   お天気が良かったので セミナー3日目に予定をしていた清里散策の一部である 立教大学とも深い関わりのある 清里の父 ポール・ラッシュ の足跡を辿りました。
東京の水瓶 として作られる事で ダムの中へと沈む事となった 村1つ分の人々が 代替地 として 標高1300m程もある様な寒さの厳しくて 八ヶ岳の火山灰の為に 酸性度の高い 清里の地へと入植するとほぼ同じ頃に 来日する際に 横浜港から見た日本を象徴する 富士山の見える場所での 日本の青年育成に関われる地を探し求めていた ポール・ラッシュ が、椅子の生活に馴染みの無い村民の為に その場から出てくる漬物石ほどの大きな石を積み上げて祭壇として建てた 畳敷きの聖アンデレ教会を見ていただきました〜   そして ラッシュ家の家紋でも有る アンデレクロスを大きく掲げた 清泉寮のフロントも見て頂きました。
立教大学名誉教授は 『 恐れ多くて ポールさんに近付けなったの。』と 仰っていらっしゃいましたが、 清泉寮の牧草地から ポール・ラッシュが眺めたものと同じ 富士山が 雲の上から 僅かに頭を覗かせる風景を楽しんで頂けたご様子で 『 これくらいは〜! 』 と 参加者へ 清泉寮スペシャルの ジャージー牛乳が使われた 美味しいソフトクリームをご馳走して下さいました。

清里の父 ポール・ラッシュ伝

清里の父 ポール・ラッシュ伝

ジャージー牛は 多くの方がご存知だと思いますが、 寒さにも耐えて  濃厚で 栄養価の高いミルクを出してくれる事から ポール・ラッシュが、日本に導入した牛達です。   そして牛達の餌である 高地寒冷地でも育つ 牧草の研究もされて ふさわしい品種を持ち込んでもいます。
そして 築地の 聖路加病院 を設立する際にも アメリカでの義捐金の呼びかけなども 広くされた方であるお話を皆さんにすると 『 私、聖路加で生まれました! 』 と大学院生が驚きながら 話をしてくれました。    名誉教授は『 聖路加病院のね、天井の高さは  立教大学の校舎の天井の高さと同じでね、病院へ行くと「あれ!?」っと思いながら 馴染みの有る居心地の良さを感じるんだよね〜 』 とお話をして下さいました。
アメリカンフットボールを日本に紹介した人物としても有名で 清泉寮へ訪れる方々も少なくありません。

その後に 映画【戦国自衛隊】や 大河ドラマなどの撮影に使われた 県営牧場内にある 牧場公園などに立ち寄ってから戻りました。
そして リルケ をテーマにした発表から セミナーはスタートしました。

神さまの話 (新潮文庫)

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夜は 皆さんが宿泊される《 ペンションあさひ 》 での 美味しい夕食会で セミナーの内容や 自己紹介の延長上の色々な話題から 談議・議論が続いて 夜遅くまで 話題は尽きることが有りませんでした。