世界遺産《仁和寺》(にんなじ)と 体温計

連日 夏日が続いていますが、 ホテルの窓から見る朝の風景は 穏やかです。   お向かいの 国立京都国際会館 の ユニークなデザインの建物が、 京都の風景に特徴づけをしている 手入れの行き届いた杉の並木の向こう側に眺められました。

今日で お世話に成った グランドプリンス京都 をチェックアウトです。  回廊になっている造りの建物のデザインが 素敵でしたが、 何よりも ホテルマンの皆さんの心配りや 接客する姿勢が 最近のホテルには欠けつつ有るように感じるものが 何一つとして感じられない完璧さでした。   西武池袋線沿線で育った私は 居心地好さを感じました。  マネージャーの松浜さんは 以前は高輪にも勤務なさっていらした経験もある ベテランなのですが、 自然体で 品格を保ちつつも 寛ぎを与えて下さる その様な方でした。  高輪プリンス は JOC 日本オリンピック委員会会長 謙 日本馬術連盟でご活躍の 竹田さんの家系 竹田宮のお屋敷だった所です。  プリンスホテルは 敗戦後の皇籍離脱によって旧皇族と成った土地が、サンフランシスコ条約によって日本政府へ返還された後に 各所が購入された事から プリンスホテル となっています。

ピアノの搬入の時間や 調律の作業の予備日として確保されていた今日ですが、 昨日中に 一通りの作業が終了したので  金沢へと向かう前に  観光客の少ない京都観光を楽しむ事にしました。
その前に 昨日 巡った 《 仁和寺 》 へ 再び行きました。  もう一度 お目に掛かりたいと思った皆さんと  折角 『 是非見て下さい!』と言われた 絵画を見たかったからです。
ここから数日は シリーズ物として アップしますので 日程はずれますので 悪しからず。

この「仁王門」を 息子へ写メールすると 『 懐かしい! 』と返信がありました。  中学校の修学旅行で 訪れていたそうです。  小さなグループで タクシーの運転手さんの案内で 小回りの利いた京都観光&学習が出来たと聞いています。  始めていく場所でも 私と似ていて 大まかな地図は頭の中に入りやすくて 移動中も東西南北が分かるので 『俺も行きたかった。 そこから直ぐの〜』と 想い出に浸ったようです。

仁和寺 》は 888年に 宇多天皇によって建立された真言宗御室派の「門跡寺院」です。  「御室」 と呼ばれる僧坊を建てて住まわれた事から 《 御室御所 》 の別名も有るそうです。  
この「五重塔」は 1644年に建立されて 四方仏を安置しているそうです。
この「御室」は 門跡の称号として用いられた事から 周辺一帯の地名となって定着しましたが、お気付きの方は 「 御室、おむろ、オムロン!? 」と思われたことと思います。  
多くの方が 身近な医療器具の「体温計」などでお世話になっている「オムロン」と成った 立石電気発祥の地です。  しかしながらこのオムロンの凄いところは 多くの自動改札口のシステムや ATMなどのシステム開発の先駆けとなった会社だったのです。
その他にも 華道流派・御室派発祥の地として 華芸上達を願う花ぼ菩薩も安置されています。   京都には 華道発祥の地として 聖徳太子小野妹子に所縁の深い六角堂がありますが、 華道の池坊は そもそもは仏様にお花を供えたことから始まるそうです。  池坊の家元の伝承と共に 現代に受け継がれているものです。  お世話になっているご高齢の師範は 月に何度も山梨から 六角堂の有る京都の家元の下へと通われていらっしゃいましたので よくお話を伺いました。

五重塔 の周囲は 手入れの行き届いた 自然の造形美を生かした 林になっています。  足元の砂利の音と共に 音と成らない自然の空気が、共鳴し合うように感じられる空間です。   その奥へと進むと 更に人の余り立ち入らない様子の 朱色のお宮がありました。   この様な場所を1人で気ままに歩ければ 多くの音と成らない 自然の空気の揺れが、肌だけではなく 鼓膜にも伝わってくるものです。

その横には 「経蔵」 があります。   お寺の建造物は 基本的な色彩や 構造は同じ様なものなのですが、 それぞれの屋根や軒先に設置されてある 立体的な瓦が 個性的で見事です。

本殿の 「金堂」 です。   本尊の 阿弥陀三尊が安置されているそうです。  元々は この場所にあったのではなくて 後に寺の中心にあたる この場所へ移築されたそうですが、 質素ながらも堂々とした風格は 見事なものです。

朱色と黒が鮮やかな 「鐘楼」 は 基調が、黒と白の建造物の多い境内では 一際目に付きます。  どの様な 時の鐘が響くのでしょう。  残念ながら 聴く事は出来ませんでした。


その横を入っていくと 「水掛不動尊」がありました。  一見 小さなお不動様なのですが、 良く良く見ると 左右から 長い竹竿が見えます。  横に回って見ると 足元には 美しい井戸水を湛えています。  その長い竿の柄杓で 水を掛ける事が出来ます。   丁度 そこで行き会った大学生の女の子2人と 『 ちょっと凄いよね〜』と会話が生まれました。
そして このお2人と共に この後に サプライズな体験をするのです。