雑誌が繋げたピアノの命〜♪


このピアノと出逢ったのは 今から何年前のことでしょうか〜!?
山梨へ越して来て間も無くの頃、 絵本が好きで 以前から定期購読をしていた 福音館書店 【 母の友 】 と言う雑誌に投稿して 掲載されると 福音館書店の絵本が、当時は 1冊送られてくることが楽しみで チョコチョコと何かを書いては送っていたものです。    当時は 一般家庭でのパソコンなどのメールの遣り取りも殆どされていない時代でしたから 《文通希望》の掲載もしてもらっていました。    私や子供達の年齢や 住んでいる場所などを元に お手紙を下さる方がありました。

母の友 2011年 11月号 [雑誌]

母の友 2011年 11月号 [雑誌]

その他にも 《タキイの種》で有名な タキイの情報誌で カーネーションの育て方をお知らせした方とも 未だに15年近くの文通を続けています。  先日は 仙台銘菓《萩の月》を今年も変わらずに 贈って下さいました。
  

このピアノとの出会いの切っ掛けを作ってくださった方は 時々【 母の友 】に 絵本の文章も書かれていらした方で 山梨の我が家からは 車で10分ほどの所に 別荘を建てられた方でした。  その別荘を建てる切っ掛けになられた方が、 その方が高校教師として初めて担任をした教え子の男性ご夫妻の別荘のログハウスに訪れた事からだったそうです。  元々、八ヶ岳にも登られていたそうで 懐かしい場所でもあったそうです。  そしてそのログハウスに このピアノは奥様のご実家より運ばれて来たものでした。
文通をしてくださっていた方とピアノは余り縁が無さそうそうだったのですが、 お目に掛かってからのお付合いも長くなって 色々なお話をしていくうちに 私のピアノ【イースタイン】の元軍人の創立者と お父さまが所縁の深い方だったことが解かり 驚きました。
ログハウスは 初期の頃に建てられた 丸ログ で 本当の山小屋の様でしたが、 奥様が幼い頃に ピアノを習い初めて レッスンに通ったお教室の先生に薦められて購入されたものだったと思いますが、東京から持ってこられたものでした。   こちらに持ってきてからずっと調律をされていないとの事でしたし 『 とても古いから 調律しても 無駄じゃないかしら・・・!? ヤマハでもカワイでも無い アトラスと言う名前のものだから・・・』と仰るので 『逆に 古いピアノだからこその味わいがあって 余程の事が無い限りは修理も現場や 簡単な作業だけで 再び弾けるようになりますし アトラス の古いものは 重たそうなピアノでしょう? ならば大丈夫です。』と初めてログハウスに伺って 拝見した時には その同道とした風格と とても黄色く変化していた象牙の鍵盤の立派さに驚きました。 

製造番号も 古い調律カードも無かったので 正確な製造年代が判らないのですが、 頼金氏によって【 アトラス 】が製造を開始した1955年の翌年には YAMAHAの創立者・山葉寅楠の弟子の参加や 国立音大の楽器研究所の学者肌だったといわれる主任や 当時の調律師業界の元老とも言われる 中谷氏の参加によって 品質が向上したメーカーです。   軽量化を早くに試みた事でもユニークなメーカーですが、 このピアノの様に 随分とどっしりとしたピアノも作っていました。  
後に 更に車で20分ほど走ったところにお住まいの【 母の友 】を読んでいて下さった方から 調律依頼を頂いて出会うのですが、『 私のお祖父さんも調律師でした。 』とお話して下さいました。   お祖父様の世代の方で 調律師と言えば 随分と限られてくるので 旧姓を伺うと 中谷氏のお孫さんでした。   私達が 教科書代わりに使った翻訳本の監修などをなさってもいらした方なので 『調律師で お祖父様のお名前を知らない調律師は モグリと言われる位の そんな方です。』と お伝えしました。


今回は そのログハウスから 小さなお子さんがいらっしゃるお宅へと移動をして 新しい人生を歩み始めた【 アトラス 】です。  以前に ネズミによる部品の破損があって アクションを持ち帰って修理をした経緯があったので  ちょっと心配だったのですが、 今回はどうも ヤマネが住み着いていたようでした。  お話をしていると 『今年は ヤマネが家の中で出産したそうですよ』との事で どうもピアノの中で 出産をしたらしくて 日頃とも違った掃除が必要でしたが、 天然記念物のヤマネが居心地好かったようですから ピアノのコンディションも 予想以上に好い状態でした。
掃除をしながら 内部の点検や 調整をしていきましたが、 久し振りに珍しいドイツの部品メーカーの刻印が、沢山見られて  古いながらの好さを感じました。
全く環境の違う場所で 小さいお子さんのいらっしゃるご家族と共に 新たな響きを奏で始めました〜♪   これから皆さんと共に 新たに育て始める楽器の1台です。