調律師の鞄の中〜チューニングハンマー〜♪

mukku38682010-11-07


日本ピアノ調律師協会 】の 会員バッジです。
実務経験3年以上(私の頃は、5年以上)の調律師が、 会員入会テスト受験資格を持ちます。   入会審査は、 ピアノの他に リードオルガンも含む 理論などの ペーパーテスト、 アップライトピアノでの 調律実技、 アップライトと グランドピアノでの 整調実技、面接 を 受けます。  
合格者は、 晴れて 【 文部科学省公認 調律師 】と なり この 《 会員バッジ 》 を与えられます。



会員バッジの モチーフは、《 音叉 》と《 チューニングハンマー・チップ 》と  【 Japan Piano Technicians Association 】の略の【 JPTA 】から成っています。
入会と同時に 【 国際ピアノ製造技師調律協会 】の会員になります。   http://www.jpta.org/2010/



今日のお題の 《 チューニングハンマー 》です。  写真を撮っていたらば、カメラ大好きの Noel が、 ポーズをとってしまいまして 参加です。
お世話に成った 師匠の形見として 頂いた物もあります。  よくよく見て頂くと解ると思いますが、 何となく違った形の 《 ハンマー 》を 並べています。



上の写真の 左のハンマーを 日頃 最も使っているものですが、 右側は 首の形状が違っています。     ピアノの構造上の 《 チューニング・ピン 》に対して 無理の少ない様に ピンの留まりが良い様な留め方をする為に 使い分ける ハンマーです。



ハンマーの 《 首 》を見てみて下さい。    昔、物理の授業で習ったと思いますが、『 支点・力点・作用点 』の 《 てこの原理 》を利用して チューニング・ピンを動かしています。   その力は 弦のテンションが、 1本あたり 80kg〜100kg前後の力が 掛かっていますので 首を長くして てこの原理を 最大限に利用しようという物です。  首の形状も 丸棒(奥に溝が切ってあって 安定しています。)と 六角棒など 有りますが、 どちらも 工具職人達の技術の高さによって ハンマー操作の微調整を 生かしてくれるものです。
 


このセットで アップライトピアノの 調律をします。  グランドピアノは 棒状の物は使いません。
上の白い3つは 《 フェルト・ウェッジ 》、その下の棒状の物は 《 棒ウェッジ 》 または 《 木ウェッジ 》と それぞれ呼び 1つの音に対して 複数の弦が張られている箇所で 1本の弦の音のみを聴く時に 使います。   この 棒ウェッジの両サイドは 二股に分かれていて ピアノの機種によっては 市販の既製品のままだと 上手い具合に使えない場合があって 木部の厚みを削って 鹿の皮を張り替えて使います。     
その右側に在る不思議な形の物は 《 ゴキゲン直し 》と言う工具と共に 一番下に在る赤い ひも状のフェルトの 《 ミュート 》を 中音部の音を整える時に 沢山の フェルトウェッジを使わない様に 使うものですが、それを弦の間に 差し込んでいく工具として使います。  マイナスドライバー等を使う事もありますが、 恩師が 黒檀で創って下さって 長年使って 手に馴染んだ工具です。
中央の チューニングハンマーは この10年程 使っています。  《 ハンマーチップ 》が、工具製造メーカーによって 手への感触が 違ってくるのですが、 最も使っていた《 HALE 》と言うメーカーが、幕を下ろしてしまって 愛用者は 大変困りました…。   その後、最近のチューニングピンに 一番合った チップを使う為に 買ったものです。    昔の製造工場で 出荷前の調律担当者が、 使っていた チューニングハンマーの 木部の柄は 『へら』の様な形にまで 使い込まれていました。  私のハンマーの柄も 新品の物に比べると 随分と自分の手の形によって 変ってきました。    友人のハンマーを試しに 借りてみると その馴染み方は 全く違います。