50年前のピアノが目を覚まして パワーアップしました♪


昨年 お客様より  お引越しと共に 想い出深いアップライトピアノを手放さなくてはならない事になったと言うお話を伺いました。  随分と 長い間 弾いていないことや 楽器が、 既に 古いものであるとの事で 処分することを考えつつも  『 欲しい! 』 と 言って下さる方が在るものだろうか!? との ご相談がありました。  以前から そのピアノのお話は伺っていたので 兎に角、 一度 拝見する事となり 都内へ伺うお約束をしました。  

不思議なことに  丁度 同じ頃に 話が急展開し始めた グランドピアノがあって  設備の改修工事と共に サイズ的に問題が生じて 再度 置く事が困難となった グランドピアノの 新たな行き先は  早々に決定したのですが、 そのグランドピアノを かつては 誰も弾く人が無かったものの  なかなか魅力的な楽器であると解ったことで  そのサイズのものを維持し続けることが出来ないにしても  全く ピアノが無くなってしまう事は 『 困る・・・ 』 となり  古いけれども ユニークな素敵な楽器が、 行き場を失ったことを お伝えして グランドピアノと入替える楽器として 如何な物か!?を見て頂く事となりました。    

【 プルツナー 】 と言う 昭和20年頃から 浜松で作られてきたブランドです。   象牙の鍵盤が貼られて有る 独特の 優しく 派手ではないけれども 聡明で 個性的な 音 が、 響きます。

ブランド名は 後々は 一般的なスペルを埋め込んだ作りへと変わりますが、 このピアノは 未だ プレートを貼られたものです。  古いヨーロッパのピアノには この様なプレートを張った楽器が多くて  訳あって 処分に至る際には このプレートのみを外して 記念に残されている方も在ります。

未だ 命あるピアノなのか!?の 様子を拝見に伺った際には 畳の部屋の角で  静かに長い年月を過されていた様子が伺えましたが、 内部を拝見すると  かつて とても弾き込まれた様子が伺えて  まだまだ寿命は尽きていない事が判り 嬉しく思いました!!   そして その個性的な音を気に入られて  その場で 新たな行き場と 引越しの相談が出来ました。
弾き込んだらば 弾き込んだ也に 消耗部品の寿命は尽きますし  弾かずに置いておいても 劣化してしまう部品もあって  引越しした後の 新たな場所への ピアノを 設置できる日までに  一時保管して貰う間に  工房で その様な部品の 交換・修理をしてもらいました。   その際に 折角だから  グランドと アップライトの アクションの構造の違いの 穴埋めとまでは行きませんが、 弾き込んだ也の良さを引き出す方法として  鍵盤に ウェイトを加工してもらいました。      

真鍮製の 鍵盤の 重さを量る ウェイト です。   頭が、 ネジ式になっていて  それ自体も ウェイトとなっているのですが、 ダンパーペダルを 踏んだ状態で そっと 鍵盤に乗せたときに スーッと下がる重さを 10g 5g 2g 1g 等のウエイトを入替えて 量ります。    私が幼い頃にも 未だありましたが、 昔の 日本のグランドピアノの鍵盤は とても重たくセッティングされていたのですが、 近年は 随分と 軽く  アクションのセッティングも 流行のようなものがあった時期があって  フルコンサートサイズのグランドピアノでも キーボードを弾いているかの様なタッチのものがありました。   最近では再び 軽すぎず 重たすぎない鍵盤で  ピアニッシモから フォルテシモまで コントロールし易く 弾く方の個性が出し易いアクションのセッティングを求められるようになり  それに近い状態へと  アップライトながら 試みました。
このピアノは その個性を気に入ってくださった方々と  『 ピアノを弾いてみたい! 』 と思う子供達によって 新しい時を刻み始めました。